ぶろぐ・とふん

扉野良人(とびらのらびと)のブログ

トムズボックス展@メリーゴーランド京都

 子どもの本専門店 メリーゴーランドKYOTOのギャラリーでトムズボックス展が開催中です。

 メリーゴーランドとトムズボックスはともにたくさんの子どもの本を取りそろえる本屋さんですが、その向かうところは対照的。メリーゴーランドが「子どもの本専門店」と銘打つようにトムズボックスは「絵本の店」と掲げるのでも、おそらくメリーとトムズとは、同じ本を扱っていながら、それを手に取る人の目線が違うように思います。
 なによりトムズボックスは冊子スタイルでの本をたくさん発行していて、トムズと云うと長新太宇野亜喜良和田誠井上洋介真鍋博田村セツコ茂田井武といったラインナップの作品集、絵本が頭に浮かんできます。それも作家本人たちさえ忘れていたり、手許に残っていなかったりする雑誌、絵本などの挿し絵やカット、装幀といった絵仕事を、たんねんに発掘し、オリジナル編集がほどこされているので、見るものは、それがはるかむかしに画かれたということを忘れて、新鮮な作品を受けとるような印象がします。作者さえ、確かにそれを描いた自分が他人事であるような驚きがあるはずです。そうやって作者さえ新鮮に驚いてしまうことが、土井章史さんによる手厚い編集から生まれた、これらトムズ本の魅力なのでしょう。
 いまメリーゴーランド京都のギャラリーでは、メリーゴーランドのアレンジで、現在手に入るトムズボックスの本たちの展示と販売をしています。
 6月19日(日)には、メリーゴーランド京都ギャラリーで、トムズボックス代表の土井章史さんとメリーゴーランド店主の増田喜昭さんによるトークがあります(要予約)。
 「ぼくからみると絵本はこうなる!」というテーマは、冒頭に書いたふたりの目線の違いがうかがえるのではないでしょうか。

メリーゴーランドKYOTO
〒600-8018 京都市下京区河原町通四条下ル市之町251-2 寿ビル5F
tel・fax 075-352-5408
mail mgr-kyoto@globe.ocn.ne.jp

 詳細はメリーゴーランド京都店のブログにてご確認ください。
 http://junzizi.exblog.jp/14918260/


 個人的なおすすめの一冊は太田大八『雑誌「宝石」の挿絵1952-1960』(1260円)。
 戦後、推理、探偵小説の登竜門的雑誌として知られた『宝石』誌に掲載された、大田大八氏の挿し絵集です。ほんらいは探偵小説のストーリーに添えられたイラストレーションが、そのテキストから絵だけが切り離され、しかもテキストがないので読者さえ取りのぞかれてしまったという、まさに読者不在の超絶トリックの完成といった塩梅なのです。