ぶろぐ・とふん

扉野良人(とびらのらびと)のブログ

かまくらブックフェスタ 第5回

かまくらブックフェスタ

10月10日(土)/11日(日)
10:00〜18:00



    Livre TOFOUN
 りいぶる・とふん

 
 かまくらブックフェスタにりいぶる・とふんが出展するにあたり、チラシの自己紹介に次のように書きました。

「とふん」とは兎のフンのこと「折に触れ時に応じ、興来り情湧く毎に、ポツリポツリポロリポロリ飛び出したるもの、即ち是」(和田垣謙三『兎糞録』)。兎のフンのように量産は出来ずとも、情湧き興来りなばコツコツと本を作るプライベート・プレス、企画・編集・デザインを一如としたエディトリアル・デザインを心がけています。


 じつは「とふん」の由来はもうひとつあり、祖父がテアトロ・トフンというアマチュア劇団を率いていました。「とふん」とは、その祖父の劇団名にちなんでいます。そしてまた、テアトロ・トフンがアマチュアだったということにおいて、りいぶる・とふんもアマチュア出版であるという気構えがあります。
 その気構えをどう説明すれば良いのか難しいのですが、むかし古本屋で見つけた、戦前のアマチュア天文家たちによる同人雑誌を架蔵しています。その中に、京阪神の10代から20代前半の天文少年(青年)たちが出した『Milky Way』(後継誌『銀河』)というガリ版雑誌が含まれていて、昭和10年代のアマチュア天文学の動向が知れるものでした。彼らの努力もあって、のちのち日本のアマチュア天文学は興隆し、学会も専門家とアマチュアが紐帯を強め、天文学全体の発展にもつながりました。
 その『Milky Way』創刊号に「より以上のアマチュウア」という言葉があります。わたしは、そのフレーズを見つけ「これだっ」と膝を打ったのです。アマチュアがかならずしもプロ(専門家)を目指さず、そのアマチュアの本分を深め、なおかつ専門分野が及びもつかない仕事の可能性を秘める。「より以上のアマチュウア」という言葉には、そんなことが含まれているのではないか、と考えています。
 出版においてもそのようなことができないか。そう考える先に、企画・編集・デザインを一如とするエディトリアル・デザインの実践、より以上のアマチュアを目指すところに、りいぶる・とふんの所期があるのではないかと考えています。




りいぶる・とふん刊行書案内



浮田要三の仕事』




編集人:浮田要三作品集編集委員会
〈小粼 唯 - 小橋慶三 - 猿澤恵子 - 扉野良人
テキスト:井上明彦、おーなり由子、加藤瑞穂、貞久秀紀、平井章一
エディトリアル・デザイン:扉野良人
制作人:浮田綾子-小崎 唯
発行所:りいぶる・とふん
発行日:2015年7月21日
書籍体裁:254×269 mm(B4変形版)/316ページ/角背背継上製本
定価:10,000円(税抜)


浮田要三の仕事』は、浮田要三(1924 - 2013年)の半世紀以上にわたる作家としての仕事をまとめた。
 浮田の創作は1955年、吉原治良率いる具体美術協会へ参加したことに始まる。浮田は1948年創刊の子どもの詩と絵と綴り方(作文)の投稿誌『きりん』の編集者だった。表紙画の原稿を吉原の家へ取りに行ったのが出会いで、彼の許に集まる同世代の若い作家と交わるようになり、浮田自身も『きりん』編集と並行して創作に乗りだしたのだった。
 吉原はじめ具体メンバーは、『きりん』誌面に踊る子どもの自由奔放な表現に驚き、なおかつ自分たちの創作にインスピレーションを得た。子どもの絵とほとんど変わらない具体メンバーの作品が『きりん』の表紙を飾ったのは浮田の采配でもあった。
 浮田は編集者を通じて作家になったのだが、それは経歴上のことで、浮田が終生大事にしたのは「人間の値打ち」がどこにあるかだった。その上で「芸術が本来の人間の仕事」だと考えてきたからである。
 しかし、浮田の来歴は身の振り方、すなわち生き方として興味深い。『きりん』が経営上立ち行かなくなり、版権を東京の出版社に委譲すると(浮田は『きりん』を編集だけでなく運営もしていた)、具体もやめてしまって、小さな袋工場を営んだ。1960年代、日本が高度経済成長の真っ只中にあるときだ。この時期、いっさいの創作から離れた。
 浮田が本格的に創作活動を再開するのは七十歳を超えてからである。
 しかし、その十年くらい前から、徐々に作品制作を再開していた。1983年に具体メンバーだった嶋本昭三に誘われてドイツ、デュッセルドルフに現地で制作、発表するグループ展へ参加したのが、浮田の意欲を駆りたてた。「作品をつくるために、それ以外の実生活をどう考えて行為するかということの大切さを60歳間近になってはじめて学んだ」という。
 その頃の作品に「帽子(ハット)」の連作がある。白の絵の具で固められた帽子が、それも一面を白く塗ったキャンバスに引っかけるように置かれた、虚飾のない作品である。浮田を知る人は、彼の頭にはいつも帽子があったことを思い出す。だから、白い「帽子」は浮田の自画像だろうと首肯く。
 人が人として、自分が自分から隔てられているという壁に突きあたり、その壁(キャンバス)へ、かぶっていた帽子をそっと置いたところに、浮田の「真に在りたい深いねがい」が籠められていた。
 『浮田要三の仕事』は人間の値打ちの籠った作品集である。

 

『僕、馬』




『僕、馬 I am a HORSE』は、彼、藤井 豊が東日本震災の一ヶ月後の4月11日から東北沿岸部を約1カ月余りをかけて歩き、撮ったものである。

りいぶる・とふん/2013年6月21日発行
菊版:223×157mm/角背ドイツ装(German Case [Bradel] Binding)上製本:ホローバック:透明カバー(PET)
本文印刷:マット墨-単色刷り/テキスト:日本語・英語
212ページ/作品点数:モノクローム約200点
栞-B6判4ページ:寄稿-荻原魚雷・河田拓也
800部/定価:3,800円(税込)





問合せ先:Livre TOFOUNりいぶる・とふん
〒600-8051京都市下京区富小路通り四条下る徳正寺内
tel / fax: 075-708-8303 e-mail: tobiranorabbit @ gmail.com
 


出展:

赤々舎
via wwalnuts叢書
牛若丸出版
ecrit(エクリ)
北と南とヒロイヨミ
文芸アンソロジー「ヒロイヨミ」と雑誌「北と南」の共同出展
群像社
左右社
夏葉社
羽鳥書店
books moblo(ブックス モブロ)
編集工房ノア+ぽかん編集室
大阪の出版社、編集工房ノアと、文芸冊子『ぽかん』の共同出展
りいぶる・とふん
LIXIL出版
港の人
MODERATO ROASTING COFFEE


会場:

garden & space くるくる

〒248-0014
鎌倉市由比ガ浜2−7−12


 鎌倉駅からは、
 由比ガ浜大通りの六地蔵交差点を、
 和田塚駅へ向かう道に曲がります。
 ≪そうすけ≫さんや≪ete≫さんが建ち並ぶ道です。
 まもなく、三井リパーク前に、
 左に曲がる小道が見えます。(ライステラスさんの
 看板が出ています。車は基本的に入れません)。
 30mぐらい歩くと、線路踏切前の左側に在ります。


問い合わせ:港の人
〒248-0014 鎌倉市由比ガ浜 3-11-49
tel 0467-60-1374 fax 0467-60-1375
mail:kamakura@minatonohito.jp