ぶろぐ・とふん

扉野良人(とびらのらびと)のブログ

ブッダ・カフェ 第32回

毎月25日はブッダ・カフェの日です。

ブッダ・カフェ 第32回

バガボンド・カフェ vagabond cafe
第2回 憲法について part2

明日はブッダ・カフェです。
そして、25日が水曜日と重なる時は、為才さんが主宰するバガボンド・カフェとなります。
前回は10月25日、第30回のブッダ・カフェでした。
2回目のバガボンド・カフェは前にひきつづき「憲法」について話題とします。経緯は為才さんのブログ、為才の日記に記されています。
 そこで為才さんも記されるとおり、この2ヶ月ほどの間に特別秘密保護法案が参議院で通過し、成立することが可決されました。それがどのような形でわれわれに影響を及ぼすものか、悪いシナリオしか思い描けない。それが、この法律の特質のようです。
 悪いシナリオは、この数日だけでも新聞を読むと、その端緒はすでに見え隠れしています。
 今日の『毎日新聞』朝刊(12月24日)の1面トップは「弾薬 韓国軍に譲渡」という見出しのもと、「政府は23日、アフリカ東部・南スーダンで国連平和維持活動(PKO)を実施中の陸上自衛隊保有する弾薬1万発を、PKOで同国に派遣中の韓国軍に国連を通じて無償譲渡することを決めた。PKOにおける日本からの武器・弾薬の譲渡は初めて。」というリード文が続いていました。菅義偉官房長官の談話による政府の見解は「今回の譲渡を例外とする(外国への武器輸出を禁じた武器輸出三原則に抵触するため)」というもので、今後このような「例外」があったとしても(これまでも例外ばかり積み重ねて来たわけですが)、秘密保護法が発動すれば「例」の内も外も関係なしに秘密にされることで、もはや私たちの耳には届かなくなってしまうのだろう、と感じました。12月22日の朝刊(『毎日』)、原発関連機器の輸出の際に国内向け機器ではなされる「実物の確認や複雑な計算式を使った強度計算」などの安全確認の調査が行われていなかった、というニュースにしても、そのニュース・ソースが「経済産業省資源エネルギー庁」から入手した文書によって判明したものですから、早晩こうした資料も入手出来なくなるだろうことが予想されます。
 さて、この特別秘密保護法に「良いシナリオ」を考えることができないのは、自分たちの政治的な立場を表明しているようにも見える。
 前回のバガボンド・カフェで「憲法」について講義をしてくださった西村さんがおっしゃったことで印象にのこった一言がありました。
 「憲法について議論すると、そういうことをしている人は〈左翼〉と決めつけられる風潮がある」
 という、西村さんご自身の体験ともとれる、その一言は、わたしにも「そうだな」という実感がある。〈左翼〉〈右翼〉というレッテルを貼ることは、話をそこで滞らせてしまうものになりかねない。
 そうした政治的な立場を超えた議論をできる土俵が、どうすれば作り得ることが可能なのか。
 先日、友人と話をしていて、話が山本太郎議員が園遊会天皇に手紙を手渡したことに話がおよび、わたしが
「あれには左翼も右翼も困ってしまっただろう」と言ったところ、友人は
「いちばん困ったのは天皇陛下だよ」
 と答えたことに、ハッと驚かされたのです。それは、もしかして山本太郎議員の行為に、わたしが驚いたこととも対にもなっているのかもしれない。
 なににわたしは驚いたのでしょう。昨日の天皇誕生日に際し、天皇陛下が記者会見が、思ってもみなかったことですが、政治的な立場を超えた議論をできる土俵を与えてくれているようにも思えることです。
 会見で、天皇はふたつの「大切なもの」を示唆されました。
 そのふたつの「大切なもの」とは
天皇という立場にあることは孤独とも思えるのですが、私は結婚により、私が大切にしたいと思うものを共に大切に思ってくれる伴侶を得ました。」
 とおっしゃっていることと共に、その前段で
「戦後、日本は、平和と民主主義を守るべき大切なものとして、日本国憲法を作り、さまざまな改革を行って今日の日本を築きました。(中略)当時の我が国の人々の払った努力に対し、深い感謝の気持ちを抱いています。当時の知日派の米国人の協力も忘れてはならないことと思います。」
と述べられていることにあたります。そして、その「大切なもの」の内実に、天皇のご家族は言うまでもなく、「日本国憲法」がふくまれているだろうことは想像に堅いことです。
 友人の言った「天皇陛下の困惑」は、その「天皇という立場の孤独」に通じてはいないかと、感じたりもしました。
 私は、新聞に掲載された天皇陛下の記者会見の要旨(『毎日新聞』朝刊26面/12月23日)で表された、ふたつの「大切なもの」、その後段にある「(天皇個人として─引用者)大切にしたいと思うもの」を、前段の「日本は、平和と民主主義を守るべき大切なもの」としての「日本国憲法」に、短絡的に結びつけました。これは私の政治的立場の表明であり、もしかして、こういうことも天皇を困惑させ、孤独にさせることになるのかもしれません。
 記者会見では〈五輪招致の場への皇族の出席などで話題になった皇室と政治の関わり〉について
日本国憲法には『天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する機能を有しない』と規定されています。この条項を順守することを念頭において私は天皇としての活動を律しています。」
 と、自身の政治的立場が日本国憲法によって律せられていることを、「私」という主語を用いておっしゃっていることが、わたしには憲法を個人としてもっとも身近に置いているのは天皇なのだ、と思い知らされたのです。


 明日のバガボンド・カフェ、「憲法について」をテーマにするにあたって、私感を記しました。


12月25日(水)
13:00〜16:30

場所:

徳正寺

〒600-8051

京都府京都市下京区富小路通り四条下る徳正寺町39

地下鉄烏丸線四条駅から徒歩7分。京阪祇園四条から徒歩9分。四条富小路交差点(西南角に福寿園が目印。北西角にジュンク堂書店)を南へ50m、西側(右手)に寺の本門があります。

参加費:

300円