ぶろぐ・とふん

扉野良人(とびらのらびと)のブログ

大阪府警の警官らによる集団強姦事件と松井一郎府知事のコメントについて

 9月9日、毎日新聞朝刊の三面記事で取り上げられた、大阪府警の警官らによる集団強姦事件に関して大阪府松井一郎知事(大阪維新の会幹事長)のコメントについて、いちどは読み捨てたが、やはりこのコメントにぼくがひっかかった点について記しとめたいと思った。
 事件の経緯については、もう記さなくても良いだろう。
 松井知事は記者団にこう述べた。


 「権力を持つ警察官が犯罪に関わり申し訳ない。府警の幹部にはしっかりと、警察官であるという意識を(一人一人に)たたき込んでもらいたい」


 この人は「権力」というものを、どのように考えているのだろうか。
 このコメントはかなりひどい、いやどうしようもないと思う。
 このような考えでは大阪府警の不祥事はあとを断たないだろう。強いて言えば強姦を奨励しているようなものだ。
 警察官は確かに権力を持っている。だが強姦という暴力もまた力関係による権力の行使であったことに、府の首長として政権をにぎる彼は、理解していないのだろうか。
 さらにコメントは府警の幹部に苦言を呈している。上位の権勢をもつ幹部が、部下に対し「警察官である意識を持て」、もっと叱正せよ、と。松井知事の文脈からすれば、「警察官である意識」とは「私は権力を持っている」ということを叩き込め、と言っているようにも聞こえる。「俺は権力を持っているのだから俺に従え」と平気で言えるような人間を育てているようなものだ。


 9月5日の毎日新聞朝刊の一面の見出しは「松井氏、再選出馬 大阪知事 月内にも表明」である。それも今年の5月、住民投票により否決された都構想の再挑戦を射程に入れての出馬だという。
 橋下市長が都構想の是非を問うて住民投票に持ち込んだとき、2012年に市民の直接請求による「原発住民投票条例案」を、住民投票を請求できる有権者大阪市民の署名を集めながら、橋下市長が、彼の一存(一存ではなかったにせよ)、それを彼の持つ権力のもと否決したことへの申し開きがなかったことに、ぼくは強い憤りを感じた。
 このように松井、橋下による維新勢力の、彼らの権力に対する執着は見ての通りである。
 「原発住民投票条例案」の住民投票を蹴りながら、おのれの掲げる都構想の是非を問うための住民投票は当然のようにして決行するというのは、職権乱用ではないだろうか。
 いまや国政に進出しようとしている維新の党である。大阪市民、府民だけでなく、全国民に対して民意を踏みにじろうと言うのだろうか。


 主権在民への強姦行為を、それと気づかずにいる、彼らの鈍感さが際立っている。